郡山のリノベーション
ストック住宅を自然素材で
リノベーション
規格住宅を自分たちの家にする
所在地:仙台市
構造:鉄骨造
竣工年:2023年2月
設計:24設計室+西裕子
改修エリア:LDK(40㎡)
玄関、洗面、和室、書斎の一部
昭和後期に建てられた大手ハウスメーカーによる軽量鉄骨造住宅のリノベーションです。建物はこれまで何回かオーナーが住み変わり、その都度メンテナンスが施されていたものの、北側に奥まったキッチンや独立した客間、敷居・鴨居によって分担された居間といった竣工当初の間取りのままの状態でした。このリノベーションでは一般的な昭和の住宅と現在の生活様式との間に生じるズレを解消し、奇を衒うことなくこれからの暮らしにあった簡素で素直に気持ちの良い空間となるよう計画しました。
今回の改修工事のテーマとして、「環境負荷を抑える(地産地消、自然素材、廃棄物削減)」、「断熱性能を上げて快適性を高める」、「身体に馴染む素材選定」を掲げています。また今回は設計者自邸であり、工事範囲もそれほど大きくないことから自ら施工管理(材料や業者の発注)を行いました。
使用する木材は基本的に宮城県登米市の登米町森林組合のものとし、巾木・棚板のサイズも出来るだけ無駄の出ない寸法としました。フローリングの半端材は2階の書斎やD I Yの洗面カウンターなどに使用しています。キッチン・洗面の床材はマーモリウムという天然リノリウムを採用しました。一見ビニルタイルにも見えますが、亜麻仁油などを原料に製造されるエコロジカルな床材です。システムキッチンと洗面台は前オーナーが更新したものをそのまま使用し、廃棄物削減に努めました。リビングにはシラス壁(火砕流が堆積した土)、隣の和室の境壁については漆喰といった消臭、調湿性能のある素材を採用しました。左官職人の友人と一緒に施工を試みましたが、リビングは初心者には難しすぎて、補助をするにとどまりました。和室の境壁は子供達と一緒にスタイロゴテで模様付けをしました。このように特殊な造形を求めず空間はシンプルに整え、材料や細部の納まり、スケールに気を配ることで空間の質が向上すると考えています。
断熱性能については、予算の関係上今回は屋根裏と床下全体、壁については改修範囲であるLDKの壁中心にゾーン改修を行いました。鉄骨柱や鋼製下地の間に収められていたフェルト状の既存断熱材を撤去後、現場発泡ウレタンを熱橋となる柱周囲と壁面に吹付を行いました。柱周りも断熱することでヒートブリッジを防ぎます。また開口部もカバー工法とインナーサッシを意匠に合わせて場所ごとに選択し、面積の大きいリビングの掃き出し窓には断熱ブラインドを組み合わせることで多層的に性能を強化しました。LDKの断熱を強化することで、冷暖房の効率が上がるだけでなく室内の温度差が小さくなるため空間の快適性が上がります。LDK 24畳に対し設置したエアコンは前住居から使用していた6畳用ですが、今年の猛暑の中でも十分に空間全体を冷やしています。
庭についてはまだ手付かずの状態ですが、外部空間を内部に取り込む事を前提に計画しているので、植栽を施すことによって内部空間の心地よさが増すと考えています。 その他、トイレやその他の手を加えていない部屋、中古住宅に特有の不具合も含めこれからも住みながらDIYで少しずつ整えていく予定です。
この家は設計者の自邸になります。希望者はご見学頂けますのでメールにてご連絡下さい。
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キッチン
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改修前
改修前:リビング
改修前:リビング
改修前:ダイニング・キッチン